ハンマーキャスター(HammerCaster)とは、国産のキャスター製造会社が作るキャスターの名称です。
この会社は台車やスーツケースに使われるキャスター等(420シリーズが有名)の製造販売を行なっています。
(家具、建設足場、産業機器、事務機器、家電機器、医療機器に用いるすべてのキャスターを含む)
その他,小型運搬車両とその部品の製造販売,運搬機械機具とその部品の製造販売も行っているそうです。
創業はとても古く,なんと大正8年(1919年)です。
今回、衝撃を吸収する台車を選定する上で、検討し購入にいたったため、940シリーズの簡単なレビューを記載しました。
本製品はとても素晴らしく、同様な製品を探している人の参考になればと思います。
検討を始めた経緯
台車に精密機器を段ボール等に入れずに、そのまま積載し運搬することがあります。
固いアスファルトやコンクリートはでこぼこがあり、運搬時の連続する地面からの衝撃により、精密機器内部を痛めてしまいます。
また,運搬時の騒音も気になるところです。
そういった用途でも精密機器を可能な限り傷めずに運搬できる台車を検討している際に、本製品を知りました。
ハンマーキャスターというもの
まずはこちらの動画をご覧ください。
ハンマーキャスター HammerCaster社公式の動画です。
今回購入した製品は、ハンマーキャスターの940シリーズです。
これはキャスターの内部にクッションスプリングが組み込まれており、地面からの衝撃を吸収し緩和し,運搬時の騒音をカットできるものです。
動画は他にも公開されていますので,是非YouTubeの他の動画をご覧ください。
製品の選定
まず、台車とハンマーキャスター 940が組み込まれたキャスターのセット製品は見つかりませんでした。(2022年4月20日現在)
選定にあたって以下の条件を満たす製品の有無を調べました。
①地面からの衝撃を吸収できる台車が販売されているか
②耐荷重最大60Kg程度の荷重で、キャスター部に衝撃を吸収できるものがあるか
③長さ最大90cmの台車があるか
④静音性はあるか
様々なサイトやメーカーHP、ECサイトを調べましたが、①を満たすものはなく、②と③を別々に用意し
組み合わせることで①と④を実現できることがわかりました。
また、キャスターを選定するのに、タイヤの種類やサイズ、それからクッションスプリング自体のばねの太さを決めなければいけません。これらは積載したい品物の重さにより選定しました。
以下、今回購入した品名です。
・ハンマーキャスター hammer Caster940BBE-UZ125 2.6 ×2個 (前輪用)
・ハンマーキャスター hammer Caster940ER -UZ125 2.6 ×2個 (後輪用)
タイヤの材質は弾力性、耐摩耗性、耐熱性を考慮しウレタン素材を選定しました。エラストマーでも良かったのですが、車輪径を125mmにすると、選べるタイヤはゴムかウレタンとなります。耐摩耗性も優先順位が高かったので、ゴムではなくウレタンにしてみました。また、ウレタン製は床面をよごしづらい性質があるようで、その点も考慮しました。
タイヤの性質や商品等に関わる情報はハンマーキャスター HammerCasterのHPをご確認ください。
https://www.hammer-caster.co.jp/
台車との組み合わせ(適合の注意点)
台車に取り付けられるタイヤは旋回式または固定式の金具により取り付けられます。
旋回式は通常台車の前輪、固定式は後輪に取り付けられます。
旋回式とは車輪部分が360度クルクル回る機構を備えたものです。
固定式はその名の通り,車輪の向きが固定され,直進または後退しかできません。
後輪を旋回式にした場合,小回りがかなり効くようになりますが,直進がやや難しくなります。
利用用途に合わせて,旋回式または固定式を選びます。
その金具は平付けプレートとよばれる取付座に組み込まれ、通常4点のねじで台車に取り付けられます。
この、平付けプレート自体の大きさやねじ穴の寸法・取付穴径に合う台車を選定しなければなりません。本製品の寸法は下記の通りです。
取付座(平付けプレート) 100 × 62 (mm)
取付寸法 82 × 40 (mm)
耐荷重やメーカの仕様により、キャスターと適合する台車を探すのは容易ではありませんでした。
結局台車はホームセンターで実機を確認して購入しました。
(DSK-101 SILENT MASTER)
なお,ネットショッピングでは台車の裏側の寸法まで掲載している製品は少ないため,実機を確認してから購入することをお勧めします。
耐荷重最大100kg程度までの台車は比較的この取付座が適合していました。
購入後にサイズが合わない事態だけは避けたいところです。
組み立て
台車をひっくり返して、元々付いていたキャスターを平付けプレートごと取り外します。
工具はレンチやボックスタイプの工具があると作業しやすいです。
この台車は13mmのナットでした。
次に購入したキャスターを取り付けます。
前輪用(旋回式)と後輪用(固定式)を間違えないようにしましょう。
組み立ては以上です。とても楽ですね。
ここで組み合わない事態にならないように慎重に機器の選定をした方が良いと思います。
940BBEとERは共に2.6mmのスプリングにしました。2.6mmのスプリングは一本で18kgの荷重がかかった時に最も衝撃吸収効果を発揮するようです(設定荷重という)
ですので,4本の車輪で72kgの設定荷重になります。ここで台車自体の重さも必要になります。
この台車はカタログ上10kgで台車から元々の車輪を抜くと,おそらく8kg程度です。
設定荷重72kgから8kgを差し引くと,64kgの運搬物を積載したときに最も衝撃吸収効果を得られるはずです。
なお、耐荷重は公式HP上では公開されていませんので、気になる方は公式HPからお問い合わせください。
動作確認
あの動画のようにスムーズに動作しました!
テスト環境は約60kgの機器を積載し、アスファルトを走行しました。比較対象に普通の台車にも同じ機器を積載し走向運搬テストを行いました。振動はかなり、、というか9割程度カットされていました。キャスターから上のパーツ及び積載物は、アスファルト上を運搬中にほとんど振動していませんでした。比較すると、普通の台車の振動がかなりきつく感じました。
静音性のテスト環境は、台車から約1.5m離れてdB測定器でテストを行いました。日中に屋外でテストしたため、何も動かしていない状態でも生活騒音により、約40dBは測定されました。そして、普通の台車は約80dB、HammerCaster付きの台車は約60dBを記録。
つまり、走行中の電車内レベルの騒音から、走行中の自動車内レベルに抑えることができ、静音化できました。
4本のキャスターで約23000円、台車で約11,000円の合計33,000円の買い物でしたが、リスクを考えると一定の効果が得られますので良い買い物だと思います。
まとめ
本品については、合間の時間を使ったこともあり、おそらく2週間程度は選定に時間を要したと思います。
参考になる情報が公式のものしかなく、そもそも知見のない分野なのでとても勉強になりました。
また、あまり世間に知られていない会社の素晴らしい製品を知ることができて良かったです。
購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
下記の店舗で購入しました。質問へのレスポンスが早く、到着も早かったです。